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MGB on the WEB,Japan
G/HN3-101。 簡素なシャシーナンバーを持つクルマがアビンドンのファクトリーを出たのは、1962年6月のことだった。 1800ccの排気量を備えたリターンフローエンジンは快活に回り、心地良い排気音を残して、そのオープン・ツー・シーターのボディを軽快に走らせた。ラダーフレームを持つ先代に比べるとモノコック形式の車体は運動性能を引き上げ、モットーにする「Safety Fast」を文字通りに思わせる、速さと安全性がより身近なものとなった。まさしく英国モータリゼイションの新たな時代の幕開けを告げる、センセーショナルなクルマが生まれたのだった。 MGBトゥアラー。このクルマが放つ異彩は、街角で見かけてもレーストラックの勇姿を眺めても、今なお衰えぬ魅力を持っている。 自動車と馬車が混在していた時代から、戦争を経て新たな時代を迎え、現代のコンピュータに支配された”クルマ”の生き様──世界を振り返ると、MGBが誕生した1960年代は一つのエポックを過ごした重要な時期だった。次々に開発される自動車の新しいテクノロジーが実車へ注ぎ込まれ、現代車の礎となる形が整った時代だったとも言えよう。 世界がまだオイルクライシスを経験する前に生まれたMGBは、ヒステリックなまでに叫ばれ、多くのスポーツカーが息絶えてしまった排ガス規制にも屈することなく、次の世代へその性能と技術、そして趣を語り継いだ希代稀なライトウェイトスポーツカーなのだ。その変遷を辿ることは、もしかすると現代の自動車を知るにも有用なのかも、いや、もしかすると進み過ぎた時代の中にある私たちに、忘れかけた何かを気付かせてくれるかも知れない。 2002年。誕生から40年を過ごした今年、いま一度、英国魂が凝縮された珠玉のクルマ──MGBを見つめてみよう。 今だからこそ見えてくるMGBは、きっと私たちを魅了するにちがいない。 街で、山で、海で、英国で、そして日本という自動車の先進国で、MGBはしたたかに生きながらえ、いつも今の時代に何かを語りかけている。MGBを愛してやまないあなたになら、そんな囁きが聞こえてきはしないだろうか。 誕生40周年を迎える、この年に。
Text,Photo by Mr.Iwazo