The Background of MGB トライアンフTR4〜6
さて僕の手元にある洋書「Classic Sports Cars」に載っているデータでは
いささか余談になりますが、TR4のスタイリングは一夜にして出来上がった訳ではなく、1960年のル・マンに出場したTR3S、1961年から同じカロッツェリアのヴィニアーレ(ダイハツ・コンパーノのデザイナーです)が極めて少数のみ生産/販売したトライアンフ・イタリアなどで、TR4の元になったスタイリングはトライされていました。
またTR4にはMGB/GTに相当するハッチバック付ファストバッククーペに改造されたドーヴGTR4というモデルも(メーカー製ではないようですが)存在しました。
TR4のリア・コンパートメントにはシート・クッションが置かれており、MGB/GTとは異なり日本でも定員4名での登録ができたようですが、CG誌の小林編集長(当時)に「足のないピグミィ用」と書かれたくらいですから広さの方は推して知るべしでしょう。
TR4のエンジンは本来4気筒OHV2138cc100psなのですがこれでは日本では3ナンバー登録で割り高となることから、元々TR3A用でTR4ではオプション設定だった1991cc100psエンジンを搭載して輸入されたとされています。
どうも実際には2138ccエンジン搭載のまま、登録のみ1991ccエンジン搭載を装っていた車も少なくなかったようですが(^_^;)。
ラダー・フレーム構造だったTR4は、モノコック構造で1962年にデビューしたMGBに対してハンドリング/乗り心地の面で批判があり、TR4Aでリーフ・リジッドだった後輪サスペンションをセミトレーリング・アーム式独立懸架に変更しました。
#エンブレムに「IRS」Independent Rear Suspensionとついてます
ただしアメリカではコスト上昇を抑えるためにこのリア・サスは採用されませんでした(これは現在タマを探す時の要注意点でしょう)。
#実際、北米の道路事情では、IRSは不要との判断もあったようです。
■TR5はTR4AのシャーシィにOHV2498ccフュエル・インジェクション付6気筒エンジンを搭載したモデルです。
この150psエンジンを搭載しても車重の増加はわずか15kgに抑えられ、動力性能は最高速度200km/h、0−400m加速16.8秒とMGCはおろかビッグ・ヒーレィを凌ぐ数値を記録しました。
■TR250はTR5の対米輸出仕様で、リア・サスペンションはTR5と同じ独立懸架に統一されたもののエンジンは燃料噴射装置の代わりにゼニス・ストロンバーグキャブレター2連装とされ、TR5の60%にすぎない104psエンジンが搭載されました。
■TR6はTR5をベースにドイツのコーチビルダーであるカルマン社(VWカルマン・ギアのカルマンです)が、主にボディ前後をリデザインしたモデルです。TR5からのメカニカルな変更は少なく、フロント・サスペンションにスタビライザーが付いた位の事のようです。
#TRシリーズでは、一番の完成型との評価もあります。まあ、曲がらない・・との話もありますが(笑)
興味があればバックナンバーを探してみることをお勧めします。これがTRシリーズに関しては一番詳しいと思いますよ。
#どうせ絶版で探すなら、保育社刊、いのうえこーいち著 世界の名車20 British
Sports に良くまとまっています。
PS:
「カニ目」(Frog Eye)とはオースチン・ヒーレィ・スプライト(マーク1)に与えられた愛称で、TRシリーズも(TR6を除いて)寄り目/デメキンなんですが「カニ目」とは呼ばれません。まあ最初は僕も見分けが付かなかったんですが(^_^;)。
by MG PATIO <えむじい亭>マスター Corkey.O
(MGB V8conv. called "Bee-3",Yotsukaido-CHIBA)
#加筆、一部修正、編集部